IT武装戦略の着眼点

第4話:商売繁盛の鍵、「現場のヒント」を見つけているか?

2015年07月29日

ニーズの多様化、市場の成熟化、人口減少、人材不足、他業界の進出等々、中小企業を取り巻く環境は大変です。しかし変化の著しい時代ですが、今も昔も商売を繁盛させる鍵は、"常に現場にヒントあり"という考えを持つ企業は少なくないでしょう。

この「現場のヒント」をしっかりと見つける具体策のひとつに、自社の収益構造から「独自の強み」を抽出する「パレートの法則」があります。別の呼び名「2割8割の法則」とも言われます。

上位顧客が利益の大半を生んでいる事実から、「売上の80%は、上位20%の顧客によって作られる」=パレートの法則。イタリアの経済学者・社会学者、ヴィルフレド・パレートが、欧州各国や米国の統計データに基づいて統計的に所得配分の研究を行い、1896年にローザンヌ大学の論文集に成果を発表しました。

パレートの法則は早くから所得配分だけではなく、自然現象にも当てはまると指摘され、現在では品質管理、在庫管理、売上管理、マーケティングなどにも適用できるとされています。

例えば・・・
・売上を伸ばすには顧客全員を対象としたサービスを行うよりも、上位2割の顧客に的を絞ったサービスを行う方が効率的であるとか。
・商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割で生み出しているとか。
・売上の8割は、全従業員のうちの2割で生み出しているとか。
・成果の8割は、費やした時間全体のうちの2割の時間で生み出しているとか。
・100匹のアリの内、よく働くのは2割だけ・・・など。

実際には業種業態や取扱商品等によって、90対10・70対30とバラつきがあることもあります。このパレートの法則を活用した、ABC分析を利用して数字化することで、「現場のヒント」が見える化できるのです。


それでは、IT(情報技術)を駆使して、「現場のヒント」を見える化し、実績を挙げている事例をご紹介しましょう。

消費者が清涼飲料の自動販売機の商品を見てから購入するまでは、平均2~3秒しかかからないそうです。このわずかな時間に起きる消費者の視線の動きを、ITを駆使しためがねでつかみ、主力商品の売り上げを伸ばしているのがダイドードリンコ。

「アイトラッキング」と呼ぶITを使い、「消費者は最初に自販機の左上を見る」という定説を覆しました。顧客は足元を確認しながら自販機に近づくため、視線が下に集中するという分析結果がでます。

この分析から、顧客の目に留まりやすいよう、それまで上段に並べていた主力のコーヒー商品であるダイドーブレンドの商品サンプルを下段に移します。これだけで主力のコーヒー商品の売上高は20%アップしました。


キリンビバレッジは来夏をめどに、自販機10万台に通信機器を設置するそうです。売れ行きをすぐに把握できるシステムを導入し、商品補充や自販機専用飲料の開発に役立てるとのこと。

自販機は値引きせずに販売できるため、収益性が比較的高いが、設置台数は飽和状態で横ばいになっているので、ITを活用して、消費者の好みに沿った品ぞろえの自販機を増やしていく戦略なのでしょう。

自販機ごとの売れ行きや欠品の情報をすばやく集めて、作業員に補充すべき商品や数を事前に知らせることが可能となります。従来は作業員が訪れて自販機内の販売状況を確認していたため、商品補充まで時間がかかってきます。しかし無線通信の活用で補充時間を半減することにより、売上の機会損失をなくすことが出来ます。

さらに、多くの利用者が見込める自販機には、「Tポイント」の提供機能を付けるようです。利用者がTポイントカードを読み取り端末にかざすと、会員の年齢や性別を認識することで、「雨が降ると女性にも温かい缶コーヒーが売れる」「20代男性が炭酸飲料をまとめて買うことが多い」などきめ細かく把握できるようになります。


このように種々集めたデータは、様々な可能性を秘めている「宝の山」と言えます。正に、「現場のヒント」に徹したところから、何か新しいモノ、コトが生まれる可能性が高いということです。

商売を繁盛させる鍵は、"常に現場にヒントあり"ですが、まずは足元にある、「現場のヒント」を集めることから始めてみましょう。店側や会社側ではなく、顧客側からの目線を大切にしながらです。

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