IT武装戦略の着眼点

第5話:お客を虜にすることの重要性

2015年08月05日

「5対25の法則」をご存知ですか?

この法則は、既存顧客の離反率を5%改善できれば、収益が最低でも25%改善する、というビジネス経験則です。「顧客離反率」とは、自社の顧客名簿から1年後にいなくなっている顧客の割合のことです。

あるカード会社では、「10%のコスト削減と離反率の2%低減では、同等の経済効果があり」、「離反率が5%下がると利益率が25~85%上がった」実績が存在しています。

業界によって改善率の差がありますが、最低でも5%の離反率低下が25%以上の利益率の改善につながると考えておきましょう。しかし残念ながら、多くの企業が新規顧客獲得に力を入れ、既存顧客の維持をおろそかにする傾向があります。

もちろん新しい顧客を獲得して、売上を上げる努力は必要です。しかし、そもそも売上を減らさないことに焦点を当てないといけません。つまり、まずは顧客の流出を止めること、すなわち「顧客維持」が重要となります。

これも、ビジネス経験則である「1対5の法則」から考えます。「1対5の法則」とは、新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍になる経験則があるからです。

既存顧客は、すでに自社の売り物を買って経験があるため、比較的シンプルな販売促進で再購入する可能性は高いです。一方新規顧客は、自社の売り物をまだ買ったことがないために、購入までのハードルが高くなります。

特別なオファーを用意した高度な販売促進を展開しても、簡単には買って頂けないために、5倍ものコストがかかってくるのです。


顧客維持については「顧客ロイヤリティー」という言葉がよく使われます。ロイヤリティーとは「忠義」「忠節」という意味で、「顧客ロイヤリティーを獲得する」とは、顧客から高い信頼を勝ち取ることを言います。

新規顧客を獲得するために、たくさんの企業が様々なサービスを展開しています。友人のような親密な関係を築き、それをロイヤリティーにまで高めなければ、長期にわたる顧客維持は実現しないのです。

これまでの販売戦略では、「いかにたくさんの顧客を獲得できるか」といった戦略がテーマとなっていました。

しかし、現代のように市場が縮小傾向にあり、店の入り口をくぐる顧客の絶対数が少なくなった時代には、「いかに長期にわたって既存顧客に利用していただくか」といった戦略が大切になってきます。

得意先に対しては、目先の1回の購入額ではなく生涯のおつきあいを目指すことです。自社の売り物について、一人の顧客の生涯購入額のうち、できるだけたくさん自社から購入してもらうことです。

つまり・・・
・自社の顧客となったら、絶対逃がさない。
・継続的な関係を築くことで、自社の長期的な経営安定に一役をかってもらう。


重要なことは、新規顧客獲得と既存顧客維持のバランスをしっかりと保つことです。販売促進の予算や労力をどのように振り分けるかは、自社の営業・販売戦略に大きく影響してくるので、十分な検討が必要です。

具体策としては、以前このコラムでもお伝えした「パレートの法則」を活用します。ABC分析を利用して、既存顧客のスクラップ&ビルドを実施するのです。

これは、すべての販売法に共通です。

例えば、ルートセールスの訪問販売でも、仮に100社の既存顧客があったとして、本当に儲けさせてくれるのはせいぜい20社くらいです。残りの80社のうち60社がそこそこの儲けで、残りの20社はほとんどお荷物となります。

お荷物の20社をスクラップし、新規開拓によって30社を新たに加えて、常に新陳代謝を図るようにしていかないと内容の濃い経営はできないのです。

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