IT武装戦略の着眼点

第7話:利益を増大させる「松竹梅」の価格戦略

2015年08月19日

1隻9,936万円のイタリア製のモーターボートも扱う通販サイト「MyGOD.JP」(http://www.mygod.jp/)を知っていますか?
何それ?と思われるかもしれませんが、実際に存在する通販サイトです。

このサイト上で売っている商品は、400万円台の宝飾品や1本100万円以上する腕時計などがクレジットカード決済で購入できます。商品はデザイナーやモデル、企業経営者など著名人が目利きとなって紹介する仕組みとなっています。

ネット通販で重要な、顧客が感じる「失敗したくない」という気持ちを、"著名人が目利きする"ことで担保しているのです。

「こんな高額商品がネット通販で売れるのか?」
そんな心配をよそに、実際にかなり売れている通販サイトです。

初めて8万円のバッグを買ったばかりの人が、「信頼感があるから迷いはない」と次は60万円のキャリーバッグの購入を検討するほど・・・。
ここ1年で会員数は2.5倍、売上高は4倍近くに伸びているそうです。


事業経営において、自社の利益を増大させる一番良い方法は、自社の売り物の価格を上げることです。現在販売している売り物の高級バージョンを、より高い値段で、選択方式で提供することです。

これは昔からある、「松・竹・梅」の価格戦略です。

中~上級の売り物を用意することで、既存顧客の5~20%が高い値段の売り物を購入してくれます。

高級バージョンの利益率は、基本的なバージョンよりずっと高いことが通常です。そのため、5%が高い方を選ぶと、同じ販売数でも50~100%の利益増が見込まれてくるのです。


しかし現実には、多くの経営者は自社の売り物を安く提供する方が多いのが実状です。そして利益が出ないと嘆いているのです。

少し前になりますが、iPhoneケースを自社開発して販売している会社をお手伝いしたことがあります。この経営者は苦労されてiPhoneケースを開発したので、決して安く販売はしませんでした。この価格戦略は正解でした。

iPhoneケースはどこでも売っています。小売店頭はもちろんネット通販でも沢山売っていますが、高価格帯は全体の5%以下でしょう。残りは激しい安売り競争に巻き込まれるだけですから。

もちろん単純に高く設定するだけで、売れるほど商売は甘くありません。その売り物の高い理由が、キッチリと顧客価値を高めることが必須です。


先ほどの通販サイト「MyGOD.JP」でも、iPhoneケースを販売しています。
一番高いもので37,000円です。

コンセプトは、「職人魂が込められた他にはない重厚感と繊細さ、航空機と同様の最高強度を誇るFACTRON」。

素材は航空機等に使用されているアルミニウム合金の中でも、最高強度を持つ超々ジュラルミンを採用しています。2枚の無垢材を削り出し、ディテールにまでこだわりぬかれたデザインは、繊細かつユニークで男心をくすぐる仕上がりになっています。


この事例からも分かるように、積極的な松竹梅の価格戦略に取り組みましょう。なぜなら、低価格でも高価格でも、販売労力は変わらないからです。

価格を決定するのは、100%供給側です。販売戦略の究極は、需要と供給のバランスを崩すことにあります。

利益増大の具体策とは・・・
①既存の売り物に加えて、新たに高価なバージョンを発売する。
 売り物をアップグレードしたり、サービスレベルを差別化する。
②顧客が望む、ステータスの上昇階段を設計する。
③それぞれの顧客にふさわしい価格で提供する。


自社は、どんな「松竹梅」の価格戦略に取り組めるでしょうか?

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