IT武装戦略の着眼点

第11話:金融機関は何を見て融資しているのか?

2015年09月16日

「取引銀行に融資を断られたのだけど、どうすれば良いかな?」
先日、学生時代の同級生である友人経営者から連絡があり、このような相談を受けました。

聞けば、急遽支払う案件があるが手元資金では足りないので、銀行から融資を受けようと思ったそうです。そして取引銀行に融資申込みをしたが、銀行マンより電話にて断りの連絡があったそうです。

友人は、「これまで何年間も取引してきたのに、なんて冷たい銀行なんだ!」と怒り心頭で、取引銀行を変更する気もあるようですが・・・。散々そのような愚痴を聞き終わったところで、「お前の会社は利益が出ているのかい?」と聞きました。

回答は、「例年赤字だったが、前期は黒字になったので、赤字にした!」との珍回答?その後も2~3質問をしてみましたが、自社が儲かっているのかどうかも良く分かっていない様子でした。


「自社が儲かっているのかどうか、良く分からない。」
「黒字で税金を払うのはイヤだから赤字にする!」
「銀行に融資を依頼したら、赤字で断られた!」

悲しいことですが、このような経営者が多いのが現状です。実際にそういった経営者を何人も見てきましたので・・・。


コンサルティングの現場にて、よく頂く質問があります。それは、「赤字では、銀行はお金を貸してくれないの?」です。この質問の場合は、「銀行は赤字の場合でも、貸してくれることもあれば、貸してくれないこともあります」とお答えします。

それではなぜ同じ赤字でも、銀行が貸してくれる場合と、貸してくれない場合があるのでしょうか?

その前にまず、赤字というのは一体どこが赤字だといっているのでしょうか。一口に赤字といっても、「営業利益」・「経常利益」・「当期利益」の3つの場合が想定されます。

この3つの利益が、黒字か赤字かで銀行側は判断をしてきます。簡単にいいますと、営業利益・経常利益がともに赤字で、最後の当期利益だけが黒字という場合は、銀行融資を受けるのは難しいということです。

逆にいえば、営業利益・経常利益がともに黒字で、最後の当期利益だけが赤字という場合は、銀行融資は受けやすいということです。

ですから、同じ赤字でも、銀行が貸してくれる場合もあれば、貸してくれない場合もでてくるのです。


強調したいことは、どんな借入でもどのような条件でも、借入金の返済原資はキャッシュ(現預金)だということです。事業経営にてしっかりと"儲け=利益"を出さないかぎり、このキャッシュ(現預金)は生まれてきません。

大事なことですが、「金融機関は、会社の何を見て融資を決めているのか?」を把握することです。答えは単純で、「この会社は、貸した金をキチンと返してくれるのか?」ということなのです。

つまり金融機関は、融資先は事業経営にてしっかりと"儲け=利益"を出しているかを、しっかりとチェックするのです。


冒頭の友人経営者には、取引銀行を変えるのではなく、政府系金融機関を利用することと、自社の経営状況を説明する決算書以外の、以下の資料を提出するようにアドバイスしました。

①【月次試算表】
②【売上実績表】
③【今後の売上予想・業績見通し】
④【資金繰り実績および予定表】
⑤【銀行別借入残高推移一覧表】

しかし正直なところ、融資決定は厳しいと思います。なぜならば、自社の経営状況が分からない経営者が、このような資料を準備することは難しいのと、面倒クサイからです。


もし私が銀行マンであれば、自社の経営状況を把握している経営者と、把握していない経営者では、絶対に前者を選ぶでしょう!

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