IT武装戦略の着眼点

第19話:ネットとリアルが融合した「オムニチャネル」戦略とは?

2015年11月11日

セブンアンドホールディングスの新サイト「オムニ7」(http://www.omni7.jp/)がオープンしました。
これは、ネットとリアルが融合した「オムニチャネル」と呼ばれるサイトです。

「オムニチャネル」とは、複数のチャネル間の顧客・商品在庫・販売情報を一元管理し、消費者個々人の購買ニーズに最大限応えることで、売上を最大化させる注目の戦略です。

実店舗での販売に加え、カタログ通販をしたり、インターネット販売を行ったりして複数のチャネルを用意する「マルチチャネル」や、ネットショップで注文した商品を実店舗で受け取れるなど、チャネル間を横断する「クロスチャネル」の発展形と言えます。

実際に「オムニ7」のサイトを見ると、グループ会社の商品をまとめて閲覧でき、ひとつのアカウントで買い物することができます。

イトーヨーカドーや、西武、そごう、ロフト、アカチャンホンポ、セブンネットショッピングの商品をネットで購入でき、顧客の都合に合わせ全国18,000店のセブン‐イレブンで24時間受け取れます。

しかも、セブン‐イレブン受取りなら送料・手数料が無料のようです。さらには、ネット購入で面倒となる返品・返金(上限2万円まで)を店舗で対応をするそうです。

これは、セブン‐イレブン店舗の来店を促すことになり、この店舗の売上も下支えすることができます。来店客が、単純に注文した商品を受け取るだけではなく、「コーヒーでも飲もうか」といったついで買いを促すことが可能となります。

ネット購入品を店舗で受け取れ、また店舗で売っていないものをその場で端末を使って買うこともできるサービス。欲しい商品をネットでも店舗でも、その場で買うことができるので、利用者はより便利になります。

新たにできる事が加わり続けていくコンビニという店舗網は、インターネットと連動することで、これからますます存在価値が上がるように思います。


オムニチャネル戦略は、現在のデジタル化時代にとても良い組合せのようです。「デジタル化時代の新たな消費者の姿」(出典:Accenture Seamless Retail Consumer Survey, November 2013)より以下のデータが掲載されていました。

●消費者の62%が、オンライン、モバイルでの購買が便利と考えている。
●チャネルを横断した効率的な買い物に望むことは、オンライン上でのリアル店舗在庫の確認(29%)、在庫切れ商品のオンライン店舗からの注文(20%)。
●消費者の55%が過去の購買履歴や嗜好情報に基づく商品提案や定期購入プログラムに関心があり。
●顧客ロイヤルティにつながる上位3つの回答は、「最適な価格」「ロケーション」「品揃え」。
●消費者の70%が配送時間指定を希望し、20%はピーク時間帯の配送時間の指定を希望している。


ホームページ経由で店頭取り置き、利用頻度を高めている具体事例をお伝えします。

ひとつ目は、持ち帰り弁当「HottoMotto(ほっともっと)」を運営するプレナス(福岡市)です。ホームページ経由で宅配・店頭受取りの注文を受けるサービス「NettoMotto(ネットモット)」(https://nettomotto.jp/)をスタートさせています。

「忙しい・手が離せな、外出が面倒なとき!」に、自宅や職場へ宅配するサービスは、地域を指定して配達可能な店舗を探す仕組みとなっています。配達可能エリアは随時拡大中の様子です。

「事前にネットで注文、待たずに時間節約!」の店頭受取りも同様で、最短30分程度で出来上がり受取り可能です。時間指定すれば待ち時間なく引き渡せる仕組みです。

いつでも注文を受けられる体制を整えることで、利用頻度を高め利便性を向上させる戦略で、売上の拡大を狙っています。

ふたつ目は、ホームセンター大手のコメリです。同社は全国1,171店舗(2015年11月現在)で扱う商品の在庫状況を同社の「KOMERI.COM」(http://www.komeri.com/)で取り置きサービスを実施しています。

自宅・職場近くのコメリの在庫を確認して、ネットで取り置き注文をします。準備ができ次第メールが届き、店頭ですぐに受け取ることが可能です。これも実店舗の利便性を高め、来店増を狙う戦略です。

大手のようなオムニチャネル戦略の実践は難しいですが、中心となる顧客の利便性を高めることに注目し、どうすれば自社に応用できるか検討するべきです!

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