IT武装戦略の着眼点

第21話:自社の企業価値を最大化する提携戦略とは?

2015年11月25日

「ある企業と業務提携しようと思うのですが・・・。」
先日クライアント企業の経営者から、相談を受けた時の言葉です。提携戦略案を聞いただけで、この企業価値を最大化することが可能となる良い戦略でした。

新規開拓の応用戦略で、提携による販売戦略があります。これは他社との「ジョイント・ベンチャー」や「コラボレーション」と呼ばれているものと同じです。

この提携による販売戦略を上手に使って、自社に新規顧客をもたらしてくれる人、企業や媒体、組織を獲得していきます。しかも早くて効率がよく、自社が負担するコストは少なくて済むのです。


例えば、あるテレビショッピングでは、100円で新しいタブレットを買うことができます。代わりにインターネットに申し込まなければいけませんが、これはタブレットメーカーとネットプロバイダか通信会社との提携戦略のひとつです。

この手法は、もともとネクシーズの近藤太香巳社長が考えた販売手法でした。その昔、Yahooのモデムを無料で配布してインターネット回線を契約するキャンペーンが大々的に行われていました。

当時のネクシーズは営業専門会社でしたので、販売力という強みを使って、ソフトバンクと戦略的提携を組んだのです。その後様々な業界で、無料で何かを配って継続課金するビジネスモデルが広がっていきました。


この提携による販売戦略に、規模の大小は関係ありません。事実、小さな会社と大手が提携して成功しています。

東京の墨田区に「岡野工業株式会社」という社員5名の小さな会社があります。世界初の「痛くない注射針」を開発した会社で有名です。岡野工業が金型をつくり、製品の製造販売は大手のテルモが行っています。

注射に使われる針の直径は通常0.4ミリもあり、その後0.3ミリの針も登場してきてはいるが、大同小異で決定的な改良とは言えなかったそうです。しかし、岡野工業が開発した注射針の直径は0.2ミリ。

液が通過する針穴の内径はなんと0.08ミリという、常識を覆す細さを実現します。名実ともに「世界で最も細く・痛みのない注射針」をこの世に生み出したのです。

テルモの社員で、新規注射針の開発担当だった大谷内哲也氏は、2000年に岡野工業を訪ねます。数え切れないほどの会社や工場に0.3ミリを超える細さの注射針の開発を打診してきたが、どこも引き受けてくれなかったそうです。

「うちにはできない」、「そもそも技術的に不可能」と断られ続け、最終的にたどりついたのが岡野工業だったのです。このような経緯があり、技術力に優れた岡野工業と、業界№2のテルモが戦略的提携を組んだのです。

この提携により、小さな会社の岡野工業は、製造設備、販売ルートを自社で確保する必要はありません。

また技術開発でよくある問題の、別の会社が技術の特許を侵害した場合、訴訟を起こすのは金銭的にも時間的にも大きなリスクです。しかし、大手企業と提携することで訴訟リスクにも備えることができます。


提携による販売戦略とは、「複数の企業がお互いに経済的なメリットを享受するために、緩やかな協力体制を構築すること」となります。

●提携による販売戦略のメリット
①提携により、自社の見込み客に即リーチ可能となる。
②提携により、新商品を開発しなくても売上を上げることが可能となる。
③提携により、新市場にリーチ可能となる。
④提携により、経営の負担を軽減できる。
⑤提携により、自社では賄えない設備を使うことができる。

提携による販売戦略は売上を上げることだけはなく、自社を成長させる「発想力」と「想像力」を手に入れることにもなります。究極的には、販売戦略中心の会社経営構築も可能となるのです。

例えば、生産機能を持たないメーカーや、倉庫を持たない物流サービス等・・・。最小の固定費で最大の売上を上げる、超効率経営を目指すことが可能です。


すぐにでも提携による販売戦略を導入して、自社の企業価値を最大化することに取り組むべきです!

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