IT武装戦略の着眼点

第27話:規格外品を広告費に変えて新規顧客獲得する!

2016年01月20日

最近セミナーでよく紹介している通販サイトがあります。
規格外野菜を無料でプレゼントする「タダヤサイ.com」(http://www.tadayasai.com/)です。
一言で言ってしまえば"無料の野菜を顧客に提供するサイト"です。

「タダヤサイ.com」は、2011年1月にスタートしたサービスです。2015年3月時点で、会員数は16万人を突破し、1日当たり40名から多い時は200名ほどの登録がある人気サイトです。

ECサイトを経営する場合、通常は高い広告費をかけて集客をするのですが、このサイトは違います。「モノで集客をする」のです。農家から売り物にならない規格外品を無料で提供してもらい、同サイトで希望者を募ります。

規格外品といっても、形が悪く少し傷がついている程度で、味は変わらず新鮮で安全なものです。実際この無料プレゼントには、1回につき1,000~3,000名もの応募がありますが、当選者は農家に選んでもらう仕組みです。

無料プレゼントは、上代で2,500円~3,000円程度の野菜が多いようです。しかし元は規格外品ですから、その原価は500円程度です。こういった野菜で広く集客をしていき、無料のモノを広告に化けさせているのです。


このサイトの収益モデルは広告と手数料収入です。
無料プレゼントだから会員がたくさん集まるのですが、会員の多くは主婦層です。ターゲットがとても明確だから、広告収益が得られるのです。

もう1つが手数料収入です。
農家はサイト内に自社のお店を持つことができます。月々1万円を払えば、20%の手数料、無料で出店しているところは30%の手数料を取る仕組みとなっています。

一見、「楽天」や「Amazon」より高いと感じますが、その後の取引は、農家側が直接顧客とやり取りをすることを推奨しています。独自のサイトで取引を行うように勧めるのです。

つまり「タダヤサイ.com」は、農家にとっては、「新規顧客獲得のためのプラットフォーム」なのです。

無料プレゼント希望者が、顧客になるのかと心配されるかもしれませんが、実際、無料プレゼントなどから顧客になる顧客転換率は4~8%で、たった1ヶ月で70名もの新規顧客を獲得した出店農家のケースもあります。


これは様々な商売で応用されているテクニックです。

身近な事例ですと、スーパーやデパ地下での試飲や試食と同じです。人は試食をすると、「買わないといけないな~」と思ったり、「買わずに立ち去りにくいな~」と考えたりします。

このように、何かを与えられると「返さないといけない」という心理効果が働くことを「返報性の法則」と言います。

その昔、心理学者のデニス・リーガン博士がある実験をしました。

2人1組で美術館賞を行う実験で、内1人が飲み物を買いに行きます。
飲み物を買いに行った人物が・・・
●A:自分の飲み物だけ買ってくる
●B:相手の分の飲み物も買ってくる

その後に「くじ付きのチケットを買ってもらえないか?」とお願いをする、という内容の実験です。

この実験の結果、Bの「飲み物を買ってもらった人」のほうが、Aに比べて2倍もチケットを購入します。つまりは、Bの購入率が2倍も高かったということです。これは「返報性の法則」によって、人の行動は大きく変わることが理解できます。


年賀状やお中元&お歳暮でも、「頂いたら返す」という習慣を持つ日本人にとっては、「返報性の法則」がもたらす心理効果は大きく、商売でよく使われているのが「お試し」と「無料」です。

まずは先に相手に与える。
それが将来的な売上として返ってくる、という長期的に考えた戦略です。


この法則を、自社で応用できることができないでしょうか?

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