IT武装戦略の着眼点

第32話:儲け方のバリエーションで差別化する!

2016年02月24日

一般的には「儲ける方法」というと、「モノを売る」や「サービスの対価を頂く」という「販売」をイメージすると思います。昔からずっとある、最もオーソドックスな方法です。お金とモノの交換なので、とてもわかりやすいです。

しかし実際には、儲け方は他にもたくさん存在します。一見同じビジネスをしているように見えても、実は課金方法が全く異なることで、利益率が大きく違うこともあります。

以下に「儲けの源泉」と「課金方法」を挙げてみます。

「儲けの源泉」
●直接販売:商品やサービスの提供と、顧客に支払いが対応している。
●販売後サービス:取扱いが複雑な商品の販売後のサービスで儲ける。
●コンテンツモデル:コンテンツを提供した媒体(WEB等)で儲ける。
●商品ファイナンス:顧客への金融サービスなど、補助サービスで儲ける。
●ロイヤルティ:知的財産による権利利用に伴う対価で儲ける。

「課金方法」
●商品対価:商品の販売と引換に代金を回収する。(一般的な課金方法)
●定額制:使用量に関わらず、固定料金を徴収する課金方法。
●従量制:利用した量に応じた課金方法。
●利ザヤ:原価に利益率を加える課金方法。
●紹介料:紹介で手数料を得る課金方法。
●広告:他社の広告による課金方法。

色々とありますが、儲けの源泉と課金方法の組合せを変えるだけでも、儲け方のバリエーションを考えることができます。

課金方法に挙げた「定額制」と「従量制」とでは相対する方法ですが、業界にない課金方法を導入することで差別化戦略となります。

1997年に江崎グリコ㈱がスタートした「オフィスグリコ」事業は、まさに従量制で成功した事例といえます。

オフィスに無料で設置する菓子専用の箱で、中にはポッキーなどのグリコ人気菓子が入っています。食べたい人は箱の上部に設置されたカエルの貯金箱にお金を入れ、お菓子を取り出すという仕組みです。

販売員が定期的にオフィスに来社して、商品補充と集金を実施します。これは、「富山の置き薬方式」のお菓子版ですが、ほぼ100%という継続率を獲得しています。

業務効率アップという側面も謳い文句にしており、疲れてきたときに少し甘いものを食べることによって、仕事がはかどるということをアピールしています。また外出してコンビニに行くのは面倒くさいですが、目の前にオフィスグリコがあれば、買いに行く時間と手間が省けるといった効率の良さもあります。

サービスをスタートさせてから、うれしい誤算もあったようです。もともと購買の中心となるのはOLと考えていたそうですが、実際に調べてみると購買層の70%が男性とわかります。

「お菓子は好きだけど、わざわざ買いに行くほどではない」という男性ビジネスマン層の潜在ニーズを拾うことで、新たな市場を拓くことに成功したわけです。


もうひとつ、課金方法に挙げた「定額制」ですが、面白い新サービスがでました。

それは、今では一般的な移動手段のひとつとなっている飛行機業界からです。2016年2月1日に、月額定額制の飛行機乗り放題サービス「OneGo」が米国で正式にリリースされました。

「OneGo」では、アメリカ国内のメジャーな航空会社の全てが利用できます。料金はエリアによって異なっており、アメリカ全土なら月額2,950ドル(約33万9000円)、西海岸限定なら月額1,500ドル(約17万2000円)、中央アメリカ限定なら月額1,950ドル(約22万4000円)、東海岸限定なら月額2,300ドル(約26万4000円)となっています。

フライトの予約はアプリから簡単にできるようですが、アカウントの開設には495ドル(約5万7000円)が必要で、キャンセルには100ドル(約1万2000円)がかかる仕組みのようです。

価格としては旅行で使うにはちょっと高いですが、ビジネスで使うならメリットは大きそうです。今後も注目していきたい会社とサービスです!


自社の「儲けの源泉」と「課金方法」を、今一度見直してはどうでしょうか?

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