IT武装戦略の着眼点

第39話:無料で使える「地域経済分析システム(RESAS)」が凄い!

2016年04月13日

経営の場面にて良く使われる言葉に、「木を見て森を見ず」とあります。これは、物事の一部分や細部に気を取られて、全体を見失うことですが、地域経済施策でも同じことが言えます。

それらを解決するために、内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)及び経済産業省が開発した「地域経済分析システム(RESAS)」(https://resas.go.jp/)をご存知でしょうか?

「地域経済分析システム(RESAS)」とは、国が地域経済に係わる様々なビッグデータ(企業間取引、人の流れ、人口動態等)を収集し、かつわかりやすく「見える化」するシステムを構築することで、地方自治体による、真に効果的な政策の立案、実行、検証を支援する目的で作られました。

このシステムで提供するデータは、企業間取引に関するデータの一部を除いて、一般の方でも誰でもWeb上で、"無料"にて使うことが出来ます。実際に使ってみると分かりますが、かなり優れたシステムです!

システムの特徴は以下のとおりです。
①誰もが使える、わかりやすい画面操作
・右脳(直感)と左脳(論理)で理解できるデータ可視化
・「鳥の目→虫の目」で可視化

②日本全体のデータ利活用コストの低減
・勘や経験や思い込み(KKO)から、データに基づく政策立案を支援(自治体職員は分析事例を共有可)
・オープンデータを通じて地域住民による地方創生を支援

③永続的に進化し続けるシステム
・地方創生に役立つ政府・民間のビッグデータを追加・更新
・官民ビッグデータのプラットフォームとして進化・発展


具体的に何が出来るのかというと、7つのマップ(平成28年3月25日リリース時点)より構成されています。産業マップ、地域経済循環マップ、農林水産業マップ、観光マップ、人工マップ、消費マップ、自治体比較マップ。

各自治体の職員でも一般人(一部制限有り)でも、企業や国民に関する各種データを掛け合わせ、数字や分析に基づいた政策立案や判断が出来ます。

リリース発表時に、担当省の石破大臣がこう言いました。
「RESASを使うことで、自治体が客観的なデータに基づいてKPIを設定し、毎年度の政策の効果をデータで検証して改善できるようになる。こうしたPDCAサイクルの確立が重要だ。行政は、"なんちゃって"政策を打てなくなる」と...。

KPIを設定して、PDCAサイクルを確立するなんて、民間中小企業のトップ企業が取組んでいる内容です。それが、自治体にも求められる時代になってきたのでしょう。

更には、RESASは帝国データバンクの企業情報データを活用しており、市町村や都道府県をまたいだ企業間の取引状況が可視化できます。正に、戦略や活用の仕方次第で、無限の機会を生むことができそうです。


最後に、RESAS活用の素晴らしい事例をご紹介します。
内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局は2015年12月13日、「地方創生☆政策アイデアコンテスト2015」の最終審査会と表彰式を開催しました。

このコンテストは、「地域経済分析システム(RESAS)」を使って、応募者の在住地域や、ゆかりのある地域の現状・課題を分析し、解決策となるような政策アイデアを募集したものです。

全国から907件(大学生以上一般の部701件、高校生以下の部206件)の応募があったそうです。

そんな中最終審査進出者の中で唯一、中学生だけで編成したチームが、地方創生担当大臣賞の栄誉に輝きました。福島市立岳陽中学校イノベーション部の『中学生の視点から地域の魅力を再発見し、観光プランを作る』です。(http://expo.nikkeibp.co.jp/bdc/resas/contest2015/

とても良く出来ており、学ぶべきことが多い事例です。

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