IT武装戦略の着眼点

第47話:ランチェスター戦略とは?

2016年06月08日

「クドウさんは若いのに、良くランチェスター戦略を知っているね!」
上場企業の元役員の方で、酒を酌み交わして盛り上がった際の会話です。聞けば、社長が「ランチェスター戦略」の実践者で、社員にも徹底して教育をしていたそうです。

ランチェスター戦略は世界でもっとも広く利用されている戦略の1つです。多くの企業が実践し、売上を伸ばしてきました。実践した著名経営者として、ソフトバンクの孫氏や、エイチ・アイ・エスの澤田氏などが有名です。

ランチェスター戦略とは、「ランチェスター法則」を戦略に応用したものです。
ランチェスター法則を考え出したのは、イギリス人のフレデリック・ウィリアム・ランチェスターです。28歳から40歳までの12年間、ランチェスター自動車会社の社長をしていました。

数多くの発明を残したランチェスターは、1914年に勃発した第1次世界対戦に刺激を受け、戦闘時における真の力関係はどのようにして決まるのかということを、自分の研究室でジックリと考えていました。

それから2ヶ月後に、「ピタゴラスの定理」にヒントを得て、2つの法則を発表しました。「弱者の戦略」と呼ばれる第1法則と、「強者の戦略」である第2法則です。これがのちに「競争の法則」と呼ばれるようになったのです。

■第1法則:攻撃力=兵力数×武器性能(質)
■第2法則:攻撃力=兵力数2×武器性能(質)


【第1法則は弱者のための戦略】
1対1で戦う局地戦の法則です。両者は接近しているので、お互いの武器性能(商品の質)が同じなら、兵力数(営業マンの数)で攻撃力は決まります。別の言い方だと、営業マンの数が同じなら、商品の質が結果を分けるということです。

ならば、営業マンの数が少ないなどリソースが乏しい、弱者に該当する中小企業は、ニッチ市場に狙いを定める、あるいは顧客との関係を重視するなど、接近戦で勝てる戦略を展開すべきです。

「数が重要ならば大企業の戦略じゃないの?」と思われがちです。
大企業の戦略は後述で示しますが、それはもっと大手ならではのものです。

中小企業で重要とした本質は、戦闘が基本だからです。数で負けてしまう可能性があれば、地の利を活かし、局地戦に追い込み、相手の戦力を減らしてしまえばいいのです。

【第2法則は強者のための戦略】
複数対複数で戦う遠隔戦の法則です。離れて戦うのですが、お互いの武器性能(商品の質)が同じなら、攻撃力は兵力数(営業マンの数)の2乗に比例するのです。

営業マンの数が10人と8人でも、攻撃力(営業力)は100対64と差が開いてしまいます。つまり、良い商品でも営業力が乏しいならば、遠隔戦=大きな市場で戦う、マス広告を引用するなどの戦術は不向きと考えられます。

特にインターネットにおいては、またたく間に世界に広がってしまうスピード感もあり、その差は致命的です。

ですから、ビッグ4と呼ばれるApple、Google、facebook、Amazonの4社でも、ある程度の追撃をしますが、トップシェアを取っていこうという戦い方はほとんどせず、特定分野でのトップを死守する戦略が基本となっています。

大手がとる戦略というのは、中小が行って成功した戦術を数で圧倒し、膨大な資金によって広域に拡散(もしくは成功を買収する)させます。資金の有効的な投資が鍵となります。

人材の確保では、人材獲得サービスを使うことからヘッドハンティングへ。さらに人材獲得のためには企業買収など。とにかく火力に物を言わせた攻勢と、代理店や宣伝など広域の覇権を取るような打ち手が基本です。


それでは、会社における強者と弱者は、どのような条件で分けるのでしょうか?
その中心となるのは、「市場占有率(シェア)」で考えると区別できます。

①トップ(1位)であること
②自社の活動エリアか県単位で、市場占有率26%以上を抑えていること
③2位との間に、10対6以上の差をつけていること

以上の条件を満たしている会社だけが、第2法則「強者のための戦略」が実行できます。しかしそうした会社は全体のわずかです。多くの中小企業は当然、第1法則「弱者の戦略」を実践しなければならないのです。

お問合せはこちら!

お気軽にお問合せください

050-3152-9723

【受付時間】09:00~17:00(土日祝除く)