ＩＴ武装戦略の着眼点

「この商品をネット販売したいのですが・・・。」
先日、独立起業したばかりの経営者から営業相談を受けた時の言葉です。

販売する商品の詳細は言えませんが、一般向けのリピート商品です。経営者自身がこの商品に惚れ込んでおり、とても良い商品なので世の中に広めていきたいと熱い思いをお持ちでした。

しかし色々と突っ込んでお話しを聞いていくと、戦略は全く無く、とりあえずホームページがあれば売上は上がると思い込んでいる様子ですし、ネット販売の経験も無いとのこと。間違いなく失敗するとお伝えしました。

そもそもネット販売とは、インターネットショップの世界です。ネットで「集客」して、ネットでそのまま「販売」します。ネットで「集客」も「販売」も両方行うのがネットショップなのです。

そしてネットショップで成功するには、「ネットで集客するノウハウ」と、「ネットで販売するノウハウ」の両方が必要になります。

この二つのうち、「ネットで販売」するのは、とても高度なノウハウが必要です。ネットで販売しようとすると、実際にモノを見たり触ったりすることなく売らなければいけません。

お客さんに実物の商品を見せずに売る売り方を「通信販売」と呼びますが、ネットで販売しようと思うと、この「通信販売のノウハウ」が必要になってきます。そのため「通信販売のノウハウ」を持っていない企業がネットで売ろうと思っても、なかなか売れません。

経験のない中小企業に、いきなりカタログ販売をやれと言われても難しいと思いますが、それと同じくらい難しいのがネットで販売することなのです。ですから今まで通信販売をやったことのない企業は、「ホームページで販売する」ことは諦めた方が無難です。

決して無理とはいいませんが、「通信販売のノウハウ」を身につけるまで、ほとんど売上があがりません。少なくとも１年は売上が経費を下回る状態が続くと覚悟すべきです。

さて、こうした通信販売のノウハウを持たない多くの企業にお勧めしているのが、「ネットで集客」して、「リアルで販売する」という考え方です。

既存の「リアルでの集客」に加え、「ネットで集客」するプロセスを加えるのです。「ネット」で集客し、その顧客を「リアル社会」に連れてきて、あとは営業マンが販売するという、プロセスに変えていくのです。

難しい「ネットの販売」は諦めて、今まで通り営業マンや店頭で販売しましょう。そして、多くの企業の営業マンが困っている「顧客を集める」部分に、ホームページを使うのです。

ネットで集客して、その見込客に電話で問い合わせしてもらいましょう。電話さえもらえれば、営業マンが飛んでいって、得意の販売テクニックを駆使して販売できると思います。

あるいはホームページで集客して、店頭に来店してもらってもいいでしょう。今までやっていた新聞の折込チラシや広告の代わりに、ホームページで顧客を集めるのです。

難しい「ネットの販売」は諦めますが、その代わりに「ネットで集客」するためにホームページを使うのです。売れもしない商品を、一生懸命ホームページで売ろうとするのではなく、ホームページで「集客」することに注力するのです。

ホームページの最大の目的は、ホームページ経由で見込客に問い合わせしてもらうこと、という風に考えてみましょう。

まずホームページにアクセスしてくれた見込客に、サービスや商品の魅力を伝えましょう。内容がよければ、見込客はサービスや商品に興味を持ってくれます。

そして、ホームページにアクセスしてくれた見込客に、電話でもメールでも構いませんから、問合せしてもらいましょう。もちろん資料請求やサンプル請求でもかまいません。店舗をお持ちの会社なら、直接来店してもらってもいいでしょう。

その後は、今までの営業活動と同じです。今までチラシで集客していたのが、今度はホームページに変わっただけです。今までと同じやり方で販売すれば、すぐに成果が出ることと思います。

このように、ホームページで見込客を集めることに注力することが、ホームページで成果をあげる最も簡単な方法です！