IT武装戦略の着眼点

第51話:ITは人を減らすためにある?

2016年07月06日

「ITを活用して、人手に頼らない超効率経営を実現しましょう!」とお伝えしています。そうすると、「人を減らすためにIT活用するのですか?」と言われる方がいます。

ITを活用する理由は、「経営の合理化を図り、現有戦力で売上を伸ばす」ためです。ITを導入したから従業員を減らすなんてことは、全くもってナンセンスであり論外です。

この手の質問ですが、前職の会計事務所時代にも良く言われていました。自計化のため会計ソフトの導入を進めると、古参社員から「私の仕事が無くなる」、「今までの仕事のやり方で十分なのに何で変えるのか」と抵抗されていたのを思い出します。

実際、中小企業にITシステムなど導入する場合には、多くの壁が立ちふさがります。会社全体を見ればシステム化は妥当であっても、使うのは現場の従業員です。経営者と従業員の思いはなかなか一致しないものです。

特に、人手で行っていた作業を機械化・自動化する=合理化は、職を失うイメージを持たれやすいようです。人を再配置したり、同じ人数でより多くの仕事をこなしたり、投資以上の効果があるといっても、一人ひとりの立場からは、そこまで思いが至らないからです。

しかし中小企業のIT活用や導入は、人がより活き活きと働けることにつながるものでなくてはならないと思います。

最近では、業務のマニュアル化やノウハウの共有にもITが使われ標準化することがカンタンになっています。短期間で「一人前」にし現場に出すことができる一方、苦労して仕事を覚える喜びや、仲間と苦闘するなかでの連帯感が得られにくい面もあります。

指示を受けて、決められたことを行うには便利になりましたが、それに慣れ過ぎると、企業の競争力の源泉である「他社に無いものを生み出し、組織力をつけて市場に挑む力や発想力」は弱くなります。

またITに使われて人が伸び悩むようでは、後継者や次世代リーダーも育たないでしょう。これでは本末転倒です。ではどうすれば良いのでしょうか?

それはIT化を検討する、ITを導入する、ITを活用するプロセスにおいて、人が主体的に関われるようにすることです。そして全社的視点でものごとを見られる立場をつくり、特に若手社員を積極的に参加させることです。

若手従業員をIT導入プロジェクト牽引者とすることで、会社全体の情報を共有できるからです。事情を知っていれば、情報システムの導入によって解決される課題は自ずと見えてきます。

こうなるとIT活用への理解はスムーズで、主体的に使いこなし結果を出すことに意識を向けられるようになります。

また若手社員を、自社ホームページの販売促進担当としてはどうでしょうか?
顧客へ自社をアピールするために、強みを掘り下げ、他社との比較をし、顧客が求めているものは何かを徹底的に考え始めると思います。

こういったプロジェクトを通じて、自社の事業に対する意識をより高めるのです。IT導入・活用のプロセスに積極的に関わることで、ITに抵抗感を抱くことなく、会社を理解し経営感覚を持つという効果を生んでくるのです。


少し前に、「人間が行う仕事の約半分が機械に奪われる」という論文が話題になりました。こんな衝撃的な予測をするのは、英オックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授です。

ロボットが職場に溢れ、仕事を奪われた人間が失業者になっていく様は想像するだけで恐ろしいですが、准教授によると「人類にとってこれは歓迎すべきことだ」と主張しています。

「かつて洗濯は手作業で行っていましたが、洗濯機の登場でその仕事は奪われました。しかし、それによって余った時間を使って新しい技術や知恵が創造された。こうして人類は発展してきたわけです。現在起きているのも同じことです。」と言っています。

中小企業のIT活用も同じです。
IT活用で余った時間を使って、他社にない新しい技術やサービスを創造するのです。余った人員を営業戦力に変えることで、現有戦力で生産性を向上させ、売上を伸ばすことに繋がるのです!

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