IT武装戦略の着眼点

第53話:中小企業のオウンドメディア戦略とは?

2016年07月20日

新しいマーケティング手法として最近よく聞くのは、「オウンドメディア戦略」です。多くの企業が、これまでの従来型メディアに露出する広告手法から、オンラインを活用して顧客と直接的な関係性を築くことに関心を持ち始めています。

オウンドメディアとは、英語のOwned Mediaのことで、「Own+Media(所有+メディア)」で所有し、自社の情報を発信するメディアのことです。自社所有しているメディアですので、Webだけに限らずカタログや広報誌などの紙媒体なども含むのが一般的です。

2009年、アメリカで発表された「マルチメディア2.0」というレポートで、マーケティングの核となる3つのメディアの一つとして分類され、注目されるようになりました。

メディアと聞くと、テレビやラジオ、新聞や雑誌といったマスメディアをイメージする人が多いと思います。

たしかに従来は、マーケティング戦略を考えるときには、「マスメディア対デジタルメディア」という捉え方がされてきました。メディアの主流はマスメディアだったということです。

しかし近年は、そうした対比では実情に合致しなくなっており、新しいメディアの捉え方が盛んにされるようになってきています。なかでも、最も注目を集めているのが「オウンドメディア」です。

オウンドメディアは、インターネットや紙といった媒体の種類ごとに捉えるのではなく、複合的・多角的な捉え方をします。ですから、インターネットの自社サイトもメルマガもオウンドメディアなら、紙媒体のニュースレターやパンフレットもオウンドメディアになります。

一方でこれまでのマスメディアは、「ペイドメディア」と分類されることが多くなっています。

ペイドメディアとは、料金を支払って利用する媒体のことで、マス4媒体で言えば、テレビCMや新聞広告、雑誌のタイアップ記事、ラジオ広告などのことです。

それ以外にも、インターネットのバナー広告やリスティング広告、イベントのスポンサーシップなど、料金が発生するメディアはすべてペイドメディアになります。

こうした分類は、冒頭に登場したレポートで提唱された、「トリプルメディア」というフレームワークがもとになっています。これは従来のマーケティングチャネルを3つに整理し直したもので、近年は日本でもメディア戦略を考える場合、この分類にならうのが主流となっています。

このトリプルメディアのうち、1つがオウンドメディア、もう1つがペイドメディアです。では残るメディアが何かというと、ソーシャルメディアを始めとする「アーンド(earned)メディア」です。

ちなみに「earned」とは、「評判や信用を獲得する」というような意味です。マーケティングにおいてはこの3つのメディアを有機的に活用していくことが大切になりますが、中小企業にとって重視すべきはオウンドメディアです。

なぜならオウンドメディアの役割は、「顧客と直接的な関係性」を築き、関係性をより強固なものにすることだからです。

自社の会員サイトやメルマガ等でダイレクトに顧客とつながれば、すべての顧客層に最適なコミュニケーションを構築することができるからです。これはマスメディア広告では絶対に不可能なことです。

例えば、インターネットで商品が売られるようになって、顧客の選択肢はものすごく増えました。顧客が自分の欲求を解決したいと思った時に、ネットを覗けば選べる商品の選択肢が沢山あるのですから。

これは売り手にとっては売りにくいですが、買い手にとっても買いにくい状態です。選択肢が増えすぎて、見込客も何を買っていいのかが分からないからです。

その時重要になってくるのが、「どの商品を買うのか」ではなく、「誰から買うか」ということです。

「この会社が紹介するものだったら間違いがない」とか、「試してみる価値がありそうだ」と思って頂くことが重要だからです。オウンドメディアは、こうした環境を築くことが可能です。

中小企業は常日頃から、広告を出し既存メディアをどう使うかを考えがちですが、メディアを自社で持つという考え方がとても重要性を高めています。

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