最近はフェイスブックやツイッターなどのSNSの普及により、多くの人が自身の意見を発信することができるようになっています。
商品の存在を知った人が、思わずSNSで紹介したくなるような商品を開発できれば、広告費をかけずにヒット商品を生むことも可能です。自社商品の製造過程に特殊性があるのなら、その点も大きなセールスポイントとして使えます。
例えば普段なにげに使うタオルでも、店頭で見かけた際、「風で織るタオル」というネーミングが表示されていたら、思わず爽やかな気分になるのではないでしょうか?
この「風で織るタオル」とは、池内タオル株式会社(http://www.ikeuchi.org/)が販売するタオルのブランドですが、「風力が動かすタオルの繊維」という物語とイメージが、タオルという爽やかさを必要とする商品に見事にマッチしています。
その他にもプロ野球選手の折れたバットを、お箸に加工した「かっとばし!」。野球ファンに大人気の商品です。断裁した後のお札で作った「招き猫」も、通販の人気商品になっています。
ネットの世界には国境がないので、優れた技術やユニークな商品があると、一気に国内や全世界へと事業展開が可能となります。とは言え、単純に優れた技術やユニークな商品を作っても売れません。
ここで重要なのは、その優れた技術やユニークな商品に係る「物語」です。現在のようなモノが溢れている時代では、ただ商品を説明するだけでは顧客に買って頂けないのです。
先に紹介した商品のように、顧客への広告メッセージに物語性を持たせなければならないのです。これまでのヒット商品や、大人気となったキャンペーンを分析すると、上手くいく企画の背景には、必ず物語があることがわかります。
しかし世の中のキャンペーンを見回すと、多くの場合売り手は、自社の商品の魅力をひたすら伝えようとしているだけです。例えば自動車を売るとき、燃費の良さやエンジンのパワー、デザインの美しさなどをアピールします。
この場合、物語の中心は車を作った売り手側です。これでは、顧客は聞く耳を持たないのです。人は誰だって、自分が物語の中心であり主人公でありたいと思っているものです。
成果の出たキャンペーンは、例外なく買い手が中心の物語が描かれています。しかし注意して欲しいのは、バラバラの思考や事実を、自社に都合がいいように語るだけの物語は意味がありません。
物語にも、形式があります。典型的な物語の形式としては、神話学者のジョセフ・キャンベルによる形式が良く知られています。
キャンベルは、世界中のすべての神話を分析して、そこに共通するパターンを見出しました。それは、「日常の世界から、非日常へと旅立つ。その過程で宝を獲得し、再び日常の世界に帰ってくる」という形式です。
このような形式で話すことで、その物語は記憶され、多くの人に広がっていくのです。思うに、「人間は根源的に物語を欲している」ということなのでしょう。
世界最古の小説と言われている「源氏物語」は、今から1,000年以上も昔に書かれたものです。伝承による各国の神話は、もっとずっと以前から存在していたと考えられています。
そして、それから今日まで一度も廃れることなく、物語が日常生活の中に深く根づいているということが、「人間は根源的に物語を欲している」という何よりの証拠ではないでしょうか?
そんな、万人に愛される「物語」という「道具」を、商売人が使わない手はないと思います。自社の商品やサービスを伝える、「物語」はなんでしょうか?
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