IT武装戦略の着眼点

第59話:閃いたアイデアを大ヒット商品に繋げる!

2016年09月21日

1991年、ある雨の日の出来事です。病院に入ろうとしている老婦人がビニールの傘袋に傘を入れようとしていますが、傘の先が上手く袋に入りません。その時、ひとりの男性が近寄り、手際よく袋に入れてあげます。

 

この男性こそ、雨の日にとても重宝する「傘ぽん」の発明者、村上稔幸氏です。「案外入れにくいな、荷物を持っていたら大変だ!」と思ったそうです。村上氏は発明好きなプレス職人で、仕事が終わると夜中までも金属加工に専念する程でしたので、早速装置の試作にとりかかります。

 

当初は静電気で閉じている傘袋の口を、簡単に開くことが出来ませんでした。ある日靴ベラを持ったときに、このヘラを袋の端に引っ掛ければ、口を開いても傘の石突きを袋の中に案内できるのではと、閃きます。そしてこのヒントをもとにして数種類の試作機が完成します。

 

苦労して完成した試作品ですが、売り込みもなかなか上手く行かなかったそうです。そんな時、新倉計量器株式会社の営業担当者が自社に持ち帰ります。しばらくして、倉庫の片隅に放置された試作機が新倉社長の目に留まります。

 

「これはイケる!」と直感した新倉社長は即座に製品化を決定し、村上氏に全てのアイデアを特許出願するように進言します。これが「傘ぽん」の誕生です。

 

「傘ぽん」とは、雨で濡れた傘をシュッと差し込んで手前にポンッとするだけで、瞬時に傘にポリエチレンの傘袋が取り付けられるユニークな商品です。今や百貨店や専門店、ホテルやショッピング施設などあらゆる場所に設置されるほどの、大ヒット商品となりました。

 

この商品は、発明好きなプレス職人と優れた経営者との出会いから生まれ、日の出を見ることになりました。これはとても重要なことです。

 

世の中を「アッと」驚かせるような商品をつくれば売れる、頑張れば儲けは後からついてくると、思い込んでいる人が大半です。しかし現実はそんなことはありません。

 

なぜならば事業経営で必要なことは、こうした「アッと」驚かせる商品やサービスを提案しながら、同時に利益を生み出す仕組みも必要だからです。これが、経営戦略なのです。

 

 

経営者や起業家のみならず、現場で仕事をする人なら、世の中に存在するなんらかの問題を発見するはずです。そして、自社の商品やサービスをイメージしながら、見つけた問題への解決策を思い浮かべることもあるでしょう。

 

ただ、そういうアイデアは瞬間的に浮かぶので、放っておくと消えていってしまいます。その結果、思いつきはするのになかなか具体的な商売に繋がっていきません。

 

このようなときに、経営戦略策定ノウハウがあれば威力を発揮します。つまり、ちょっとしたアイデアや衝動を、経営戦略として整理してまとめ上げてくれるのです。

 

世の中の優れた経営者は、他社が思いつきもしない尖った価値提案を閃くと、それをしっかりとメモに残しておいて、常にネタを集めています。私がお付合いしている年商30億円企業の会長は、タダでもらえる銀行封筒を利用していました!

 

こういった小さな積み重ねが往々にして、誰かが何かで悩んでいることをたまたま目撃したり、ウワサを聞いたりしたときの閃きが、大きなビジネスにつながったりするものです。

 

ビジネスパーソンが持っている、技術やサービスなどが、誰かがなんとかしたいこととリンクした瞬間に、思考の回路がつながり、新しいビジネスが芽生えます。

 

このように経営戦略はビジネスのネタを整理するために役立ちます。優れた経営者が自然にやっていることを、方法論として身につけてしまいましょう。

 

経営戦略があれば、新しいビジネスのネタを伝えやすいメリットもあります。経営者がいくら素晴らしいアイデアを思いついたとしても、社員に理解してもらえて、初めてビジネスは効果的に実行されます。

 

自社も「傘ぽん」のような大ヒット商品と出会うため、アイデアや閃きを経営戦略として整理しておくべきです!

 

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