IT武装戦略の着眼点

第65話:経営計画を作ると売上は上がるのか?

2016年11月09日

2016年版小規模企業白書には、事業経営に役立つ様々なデータが掲載されています。

 

その小規模企業白書、経営計画策定に関する興味深いデータがありました。それは、経営計画を「作成したことがある」者は53.0%で、約半数の小規模事業者は経営計画を作成したことがないそうです。

 

経営計画というと、何やら高度な知識を必要とする難しいものという印象を持つ経営者が少なくないはずです。しかし経営計画策定の意味するとこは、決して難解なものではなく、社会生活の中で誰でも行っている「知恵」であり「技術」なのです。

 

ある農家の方に、「良い作物を作る条件とは次の5つの中でどれですか?」と質問してみます。

 

①良い種を入手する。

②良い土壌を準備する。

③水を沢山やる。

④タイミング良く種をまく。

⑤すべての作物の育成に最善の努力を払う。

 

どれも重要なことのように見えますが、正解は「①と」です。

 

理由は、良い種と良い土が無ければ、何をしようとほとんど上手くいかないということです。作物が上手く育つかどうかは「植え付ける前になされる準備によってほとんど決まる」と農家の方は言います。

 

企業経営にも全く同じことが言えるのではないでしょうか?

 

例えば、全く知らない場所に車で行く場合、カーナビに目的地を設定しておけば、道に迷うこと無く到達できます。運転の力量や知識や経験などで、多少の違いがあるにせよ、ほぼ間違いなく目的地に到達できます。

 

経営計画はこのカーナビと同じです。事業経営の儲かる方向性を示すナビゲーターであり、尺度であり、選択眼なのです。すなわち経営計画とは、「我が社が生き残るための」道具なのです。

 

我が社が生き残るために、

①「いくらの儲けが必要なのか?」を数字でつかむ。

②「誰に・何を・どのように」売るのかを決める。

③計画を実行するための「資金繰り」はどうなるか?

 

これらは経営者自身が、戦略的に方針を打ち出す以外にありません。

 

また経営計画があると、月次で計画と実績の差をチェックできるので、打つ手が間違わないという効果があります。闇夜で手探り状態がなくなり、事業経営が先手・先手となります。

 

経営計画策定の「具体的なメリット」を挙げてみると以下の通りです。

儲かる事業構造が出来る!

  経営者が会社の問題点をすぐつかみ、素早く手を打てるようになる!

 資金繰りの見通しが立ち、銀行に信用ができる!

社員の目的意識が統一され、全社一丸体制ができる!

後継者教育ができる!

経営計画作成の過程で、我が社の問題点、我が社の実態がつかめる!

 

こういったメリットがあるのですが、冒頭のデータが示す通り、経営計画を策定する経営者は少ないのです。

 

一方で、経営計画を策定した経営者は、「経営方針と目標が明確になった」及び「自社の強み・弱みを認識できた」との回答が、それぞれ約7割となっています。その他、「販路開拓のきっかけとなった」が約4割、「資金繰りの状況が把握できた」が約3割ともなっています。

 

また、経営計画の作成の有無と業績傾向との相関を示したデータもあります。これによると経営計画を、「作成したことがある」者の方が「作成したことがない」者に比べて、売上高が増加傾向にあることが分かります。

 

中小企業にとって経営計画策定は、間違いなく必須事項だと言えます。

 

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