IT武装戦略の着眼点

第67話:時間をめぐる差別化のポイント!

2016年11月23日

近年、食の世界では「鮮度」をめぐる競争が激化しています。直売所には朝採れ野菜が、ところ狭しと並んでいますし、地方で水揚げされた魚がその日の夕方には東京のスーパーで売られているのです。

 

鮮度を維持するために、冷凍での保管輸送技術、包装技術などが日々進化しています。またこれまでの鮮魚流通の仕組みに革命を起こし、昨年から何かと注目されている、「羽田市場」(http://hanedaichiba.jp/)をご存知でしょうか?

 

羽田市場は、CSN地方創生ネットワーク株式会社が運営する、飲食店、小売店向けのオンラインマーケットです。ここ最近の豊洲移転問題の影響もあってか、注目度がグイグイあがっています。

 

羽田市場で取り扱うのは、漁師直結の新鮮な魚介類。産地と直接やりとりをすることで、「いつ」「どこで」「だれが」「どのような漁法で」獲ったかまで把握でき、新鮮さだけでなく完璧なトレーサビリティのお届けまでもが可能となっています。

 

空港から直送することで、国内外の納期短縮、さらに、従来の中間マージンを大幅にカットすることで、地方の漁師さんの収入を上げるという、「地方創生」モデルとしても話題です。

 

全国から羽田へと“超速”で届いた魚介類は、空港内にある「羽田鮮魚センター」にて仕分け・加工され、お店へ配送されます。

 

この鮮魚センターの立地も羽田市場の大きな利点です。空港内にあることで、荷物の到着から仕分けまでの時間も短縮でき、圧倒的な鮮度を維持したままのお届けが可能なのです。

 

超速鮮魚当市場ではこの魚介類を「超速鮮魚」と名付け、飲食店、小売店へと究極の鮮度と安心感を届けています。また先日、個人向けの直販が始まりましたが、あっという間に完売しており、対個人もすごい人気のようです。

 

近年アマゾンを筆頭に、アスクル、ゾゾタウン、工場備品のモノタロウなど、あらゆる業界で流通革命が起こっていますが、そうした一角に食い込みそうです。

 

 

一方で、それとは「逆行」しているかのような動きもあります。

 

雪国では、冬場に野菜などを保存する貴重な保存技術として「雪室」を使ってきましたが、冷蔵庫などの普及にともない姿を消しつつありました。それが今、静かなブームとなっているようです。

 

代表的な事業として、異業種の食材メーカーが越後雪室屋のブランド化に挑戦している、「にいがた雪室ブランド事業協同組合」(http://www.yukimuroya.com/)があります。

 

天然雪を利用した食品保蔵庫「雪室」で熟成させた、野菜、魚、肉に加えて、コーヒー、ゼリー、カステラ、白玉粉、ジャムなど様々なジャンルの食品を、「越後雪室屋」の統一ブランドで販売していいます。

 

2011年の事業開始以来、年々参加企業や商品数は増え、現在は26社が参加しており、商品は19品目80製品以上となっています。雪室珈琲、雪室熟成にいがた和牛・豚肉など、コンクールやセレクションで受賞する機会も増え、その味も広く認められ始めています。

 

生鮮食品から加工品まで、あえて一定の時間をかけて新しい価値を生み出しています。温度などが適切に管理された空間のなかに留め置くことで、そのもの本来の旨味を引き出し、それが付加価値となっていきます。

 

さらに大学によって、雪室における熟成効果についての研究が行われ、おいしさの根拠が科学的に証明されています。この研究結果が出たことで、バイヤーからの関心が確実に高まってきているそうです。

 

「熟成」という独自の強みを掲げることで、冒頭にも出た、業界の多くの事業者が参戦する鮮度競争とは一線を画する販売戦略が可能となっています。

 

 

「鮮度」VS「熟成」。

比べると真逆ですが、どちらも尖っており独自の強みを見出しています。業界のなかで、自社は尖っているでしょうか?

 

 

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