IT武装戦略の着眼点

第72話:業界の常識を覆す「IoT」の脅威とは?

2017年01月11日

ITを活用したテクノロジーの急速な発展により、2017年も事業環境の変化は更に加速していくでしょう。

 

そのテクノロジーのひとつ、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」でも、これまでの業界の常識を覆すような新商品・新サービスが続々と登場してきています。

 

ネスレ日本が昨年発売した「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタi(アイ)」は、今までの機能はそのままで、新たに通信機能が付いていて、無料の専用アプリを使ってスマホで操作ができます。

 

このアプリを使って、コーヒー、水、泡立ちを細かく調整しながら、自分好みのコーヒーを作ることができるようです。また、カスタマイズしたメニューをお気に入りに登録しておけば、別の「バリスタi(アイ)」 でも、自分仕様のコーヒーを楽しむことが可能です。

 

更に優れた機能もあります。コーヒーによる新しいつながりを提案するコンセプトで、家族や友達を登録しておくと、いつコーヒーを楽しんだか、どんな気分で飲んでいるかなど、遠く離れていても、お互いのことを知ることが出来るようです。

 

つまりコーヒーマシンで、遠く離れた親などの高齢者の「見守り」に活用できるのです。毎日決まった時間に飲んでいるのが分かるだけで、安全や安心を確認できます。毎日使う家電は、見守り機能をつなげやすいのです。

 

こんな新機能満載の「バリスタi(アイ)」ですが、販売価格は7,980~8,980円です。通信機能が無かった旧モデルと同価格に据置きする販売戦略を打っており、売れ行きはとても好調なようです。

 

 

アマゾン・ドット・コムが先月の5日、日本の消費行動を変える新サービスを開始しました。食品や日用品を注文できる小型端末「Amazon Dash Button」の販売です。

https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=4752863051

 

「Dash Button」は、Amazonで対象となっている商品がボタンを押すだけで注文できるボタン型端末です。洗剤やシャンプー、シリアル、オムツ、ペットフードといった商品が対象となっており、それぞれのブランドごとに用意された「Dash Button」を購入できます。

 

Amazonが「Dash Button」を開発したのには、“消費者はたびたび必需品の在庫切れを引き起こしてしまう”、“必需品の買い物が決して楽しいものではなく、あくまでも「仕事」である”という背景がありました。

 

そこで買い物を意識させないことこそがベストなショッピング体験だという想いのもと開発されたのが、ワンクリックでショッピングを完結させる「Dash Button」でした。

 

端末ボタンの大きさは横6センチ、縦3センチと小型で冷蔵庫などに貼り付けておけます。対象顧客はAmazonの有料会員「プライム会員」で、500円(税込)で端末ボタンを購入しますが、商品の初回購入時に同額が差し引かれるため実質的に無料です。

 

利用にはスマホと、Wi-Fiなどの無線通信環境が必要となります。あらかじめ専用アプリで購入する商品のサイズや一回当たり発注個数を設定しておけば、その後はボタンを押すだけで注文が可能となります。

 

アメリカではボタンを通じた注文が過去1年で5倍に増加したそうです。2015年のサービス開始時に18種類だったブランド数は現在、200種類以上に拡大しており、今ではボタンによる注文が半分以上を占める、コーヒー販売業者も出てきたそうです。

 

冷蔵庫や戸棚に設置し、飲料や洗剤が切れた時にボタンを押すだけで注文が完了します。正に購入するという体験や消費行動が大きく変わります。既存小売業者にとっては間違いなく脅威となるでしょう。

 

 

たったひとつのテクノロジーによって、新商品・新サービスが大きく変わり、「業界」という枠組みが無くなろうとしています。

 

この流れを脅威と捉えるのか、それとも経営課題の問題解決に貢献する大きなチャンスと捉えるのか・・・。

 

猛スピードで変化していく時代の中で、自社を取り巻く経営環境がどうなっていくのか?その中で3年先10年先、自社はどのように変化をしていかなくてはいけないのか?

 

2017年は、その方向性を定める重要な年となるでしょう!

 

 

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