IT武装戦略の着眼点

第75話:事業コンセプトは重要なのか?

2017年02月01日

「アドバイス通り、顧客の困りごとを提案していくと、自社が「何屋」なのか良く分からなくなるのですが・・・?」先日お伺いした、クライアント企業からのご相談内容です。

 

コンサルティング現場では、顧客にとって解決されていない事(悩み・不安・怒り等)、あるいは解決する際にうまくいかない周辺の事業を明らかにして、その価値を提案することが重要だとお伝えしています。

 

しかし顧客価値を高めていくほど、自社が「何屋」なのか良く分からなくなってくる場合があります。そんな時は自社の売り物の本質を、明確に表現したもの、「事業定義」や「事業コンセプト」を明確にすることで解決します。

 

明確にすることで、手当たり次第に色々なものを手掛けていた事業が、明確なビジョンを持ち、洋々たる可能性を持ったスケールの大きな総合企業に変貌してしまうほどの可能性を秘めています。

 

では、自社が何を目的とする会社かといった理念を事業のコンセプトに落とし込むにはどうしたらよいでしょうか。「誰に」「どのような商品・サービスを」「どのように」提供するのかを考え、常に一貫させることが何よりも重要です。

 

顧客の属性により商品やサービスの内容は変わりますし、どのように提供すべきかについても変わります。逆に言えば、どのような方法で提供するかにより、その商品やサービスを使える顧客も変わってきます。

 

また、その方法論は技術の進歩により変化しますし、顧客自身も技術や流行にあわせて変化しています。これらが一致できているかどうか、あらためて自社の事業コンセプトを確認するべきです。

 

●「誰に」を考える

顧客の範囲や属性が広くなれば、それだけ多種多様な期待やニーズに応えるためにサービス・商品は最大公約数的なもの、「よくある当たり前のもの」となり差別化が難しくなります。

 

従って、まず自社の提供できる商品・サービスの特性を見極め、対象とすべき顧客層を特定しましょう。 その上で、今自社の顧客となっている層を超えた潜在的な顧客を顕在化することも必要です。

 

同一地域にいるにも関わらずこれまで対象にできなかった顧客や、商圏の外と認識していた別の地域の顧客を開拓することが考えられます。こうした方策によって、商品・サービスの提供範囲が拡大し、生産性を向上することが出来ます。

 

●「何を」を考える

次に特定した顧客のニーズを考えます。またその顧客にとって、他社や、自社が過去に提供しているものとの差別化要素を作り出します。これにより顧客の期待価値を上げることが、生産性向上につながります。

 

さらに、常に商品・サービスの内容やその提供方法を革新し、顧客の期待価値を上げ続ける努力が必要です。一方で均質で安定して提供するなど、ブランド化を図ることで顧客の信頼を獲得することも有効な手法です。

 

いずれにしても、重要なのは、顧客のニーズを常に把握し、提供する商品やサービスの品質がそれに合致し、また上回るようにする努力が不可欠です。

 

●「どのように」を考える

最後に上記で検討した顧客と、その顧客にあった商品やサービスを、どのような方法で提供するかを考えます。

 

顧客が事前にその価値や品質を知ることが困難だと言われていますが、顧客が事前に十分な情報に基づいて判断でき、その商品・サービスがニーズに沿うものであれば、顧客は無駄な出費をしなくて済みますし、顧客満足度も向上します。

 

商品・サービスの提供においては、他の事業者と連携することも有効です。関係するサービスを包括的に提供することで顧客が享受できる幅を増やすことが出来れば、当該商品・サービス全体に係る顧客の期待価値を高めることも可能です。

 

こうして、「誰に」「何を」「どのように」提供するかという事業コンセプトが定まったら、「どうやって利益を出すか」を含めた経営戦略を検討します。

 

しかし事業コンセプトの設定と経営戦略は、初めから正しく策定できてよい成果に繋がるとは限りません。売上や利益等の事業成果、社会構造の変化や人々のライフスタイル変化、社会における技術革新等を踏まえて、常に見直しとブラッシュアップを図ることが重要です。

 

すなわち、事業コンセプト・経営戦略・成果のチェックと見直しする体制。事業経営においては、全てがバランス良くなければ成果を出すことは難しいのです!

 

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