IT武装戦略の着眼点

第85話:「返報性の法則」でセールス不要?

2017年04月19日

「このスーツを買わせて頂きます!」

週末に行ったショッピングモールで、特に買う予定も無かったビジネススーツを購入してしまいました。

 

笑顔が素晴らしい店員で、ビジネススーツに関する様々な情報やトレンドを教えてくれました。やり取りのなかで、一切のセールスが無かったのですが、思わず買ってしまったのです。

 

人を説得するにあたっては、「返報性の法則」なるものがあります。基本的に、人は誰かに何かをしてもらうと、お返しをしなくてはいけないと思ってしまう人が多いのです。

 

人から何か(時間・情報・プレゼント)をもらうと、しばしば借りができたような気分になるからです。このような理由から、店員が「うんと時間を割いてくれる」と、その店で何か買わないわけにはいかなくなってしまうのです。

 

こうして何らかの形でお返しをした方が、お店の場合は何かを買ったほうが、気持ちがおさまるのです。

 

スーパーやデパ地下の店員は、このことをよく理解して実践しています。人は試食をすると、「買わないといけないな~」と思ったり、「買わずに立ち去りにくいな~」と考えたりするからです。

 

ところで、この「返報性の法則」にはもう一つ面白い効果があります。

ある研究者が、コピー機を使おうとしている人の前に割り込ませてもらうシチュエーションを実験しました。

 

A:「すみません。コピー機を使わせてもらえますか?」

承諾してくれた人は約半数でした。

 

B:「すみません。コピーを取らなければいけない『ので』、コピー機を使わせてもらえますか?」

この言い回しに変えて頼んでみたら、おかしなことに、ほとんど全員の人が承諾してくれたそうです。

 

これでは全く理由の説明になっていません。コピーを取るためにコピー機を使うのは当り前のことです。しかし、なぜこんなに効き目があったのでしょうか?

 

「~ので」と言われると、人は無意識のうちに正当な理由があるかのように受け取ってしまうからなのです。つまり、耳にしたことをほとんど条件反射的に受け入れてしまうのです。

 

その言葉や文が意味をなしていようといまいと、意味をなしているものと決めてかかってしまうため、説明内容までわざわざ吟味したりしないのです。

 

そこで断りたいときは、単に「ノー」と言ってから、「~ので」を使って理由を説明すれば、後味の悪い思いをすることは無いはずです。

 

店員が時間を割いて説明してくれたお返しに、何かを買って差し引きゼロにするのと同じで、知らず知らずのうちに心のバランスを取り戻すことになります。

 

 

年賀状やお中元&お歳暮でも、「頂いたら返す」という習慣を持つ日本人にとっては、「返報性の法則」がもたらす心理効果は大きく、商売でよく使われているのが「お試し」と「無料」です。

 

まずは先に相手に与える。

それが将来的な売上として返ってくる、という長期的に考えた戦略ですが、この法則を、自社で応用できることができないでしょうか?

 

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