「お客さんを絞り込むなんてモッタイないので、私は全ての年齢層を対象にして営業をやります!」。以前弊社セミナーに参加された、結婚相談所を運営されている女性経営者の言葉です。
常々、顧客ターゲットを絞り込めば絞り込むほど、他社との差別化が明確になるので、自社にとって有利な展開となるとお伝えしています。
具体的には先ず自社の強みを見出し、その強みを最大限に活かせる市場を探し、どんな見込客に向けて、どのようなアプローチをすることが有効なのか、理想とする見込客の絞り込みに入ります。
モノやサービスがあふれるこの時代、より多くの人をターゲットにしたいと大網を広げたところで、既存商品との違いがお客さんに伝わらず、失敗することがほとんどです。
多くの場合、商圏が小さくて狭く取扱商品数が少ない中小企業にとっては、見込客はできるだけ絞り込んだ方が良いのです。
絞ってしまうとビジネスチャンスが狭くなると思うかもしれませんが、独自性が際立ち競合他社から比べても、魅力的に自社の売り物を見込客にアピールできるのです。
例えば結婚相談所であれば、「中高年齢者向け」ではまだターゲットがぼやけています。中高年齢層といっても、男性なのか女性なのか、50歳台なのか、60歳台なのか、初婚なのか再婚なのかと、まさに様々です。
そのなかでどこを狙うのか?
ターゲットをギュッと絞り込むことで、自社のサービスの特徴が際立ち、狙う見込客の心を見事に掴むことができるのです。
ところが多くの中小企業では、この女性経営者のようにターゲットの絞り込みが出来ておらず、自社の売り物がどんなに魅力的でも、見込客にそれが伝わっていない残念なケースが多々あります。
どんなビジネスでも、全ての消費者、全ての顧客ニーズに対応する商品やサービスなど、皆無だということをしっかりと認識すべきです。
今の時代、大企業ですらターゲットを絞った戦略をとっているのに、力の劣る中小企業が全ての消費者をターゲットにして成功することは不可能だと考えてください。
ターゲットを絞るというのは、対象にしない見込客を決めることです。
あれもこれもと欲張って、誰を対象としているかよく分からないよりも、この層の消費者の悩みと自社の売り物とは若干ズレているので、思い切ってこの層は対象外とする、このような発想です。
「そうやって絞っていくと、市場が小さすぎるのでは?」と、心配されるかもしれませんが、小さな市場でも大部分のニーズを掴み対応できれば、大きな市場となるのです。
かつて小さな印刷会社が、様々な印刷サービスを廃止して名刺印刷だけに特化し、かつ対象は郵便局だけの名刺と、徹底的に絞り込んで成功した事例もあります。郵便局は全国にありますから、小さな会社でも全国展開が可能となりました。
このようにターゲットを絞り込んでいくことは、決して市場を狭めるものではなく、むしろ小さな市場からシェアを獲得して、大きな市場に拡大する可能性を秘めているのです。
自社は、顧客ターゲットを絞り込めていますか?
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